2021ホープフルステークス回顧とキラーアビリティの血統解説
21年クラシックシーズンを占う2歳戦での重要な一戦ホープフルステークスの回顧と勝ち馬キラーアビリティの血統解説。
目次
ホープフルステークス2021 動画
ホープフルステークスレース回顧
勝ち時計 LAP
2:00.6 12.6 – 11.3 – 12.0 – 12.2 – 12.0 – 12.0 – 12.2 – 12.2 – 11.7 – 12.4
前半5F60.1 後半5F60.4 後半3F36.3
同日の古馬1勝クラスの勝ち時計が2:02.9であった。比較の上で優秀なタイム。
レース展開
ハナを切ったのはグランドライン 人気馬は3番手に2番人気キラーアビリティ 1番人気コマンドライン 3番人気サトノヘリオスは中段後方からの競馬。
グランドラインはしっかりと飛ばしての逃げ冬の中山で前半5Fが60.1はかなり速い。しかも2歳戦である。参考までに別日開催ではあるが中山金杯の前半の5Fは62.0である。これはかなりスタミナが要求されたレースである。しかも中盤のゆるみは全くなく淡々と12秒前後のラップを刻むグランドライン。
道中は動きがほとんどなく隊列が変わらない。むしろこのペースでは誰も動けない。3コーナーで後方から1番人気コマンドライン サトノヘリオスが外から進出開始をするのであるが、3コーナーで進出するためには11秒台の脚が必要になる訳でここで脚をつかったら後はもう歩くしかない。当然であるが直線向いてコマンドライン サトノヘリオスは失速。両馬とも2桁着順に沈んだ。掲示板に載った馬で唯一後方から差してきたのは4着になったフィデル。この馬はほぼ最後方から最内を通って差してきたので展開がはまった感が強い。
このレース、ハイペースにも関わらず、比較的前にいた馬で決着した持続型超スタミナ要求レースであったのである。
レースは坂下でグランドラインが力尽き、粘るボーンディスウェイを外からキラーアビリティが交わして先頭。ジャスティンパレスの追撃を振り切って優勝した。
馬券圏内の馬たち
勝ったキラーアビリティは終始3番手からほぼイーブンペースでレースをすすめきっちりと抜け出しての勝利。この厳しい流れを残り2Fで11秒台の脚を使って抜け出し、最後も12.4でまとめたのは強い。
2着のジャスティンパレスは5番手から、末脚は最も光っていたが内にササってしまい、スムーズに追えなかったのが惜しかった。スムーズでも逆転できたかは疑問だが、今後の成長次第で大物になれるかもしれない
3着のラーグルフは5番手の最内からジリジリと脚を伸ばして3着に粘った。ここまでの消耗戦でこそ台頭できた感はある。皐月賞でおかわり、菊花賞で大番狂わせがあるかもしれないが、瞬発力タイプではないのでトライアルを勝ち抜けるかどうかがポイント。今回は丸田騎手の好騎乗が光った。
キラーアビリティのプロフィール
父ディープインパクトはクラシック三冠などGⅠ7勝
母キラーグレイシスは米GⅠ馬 という超良血
姉キラービューティーは芝・ダート問わず短距離で活躍 4勝
キラーアビリティの血統表
キラーアビリティの血統評価
キラーアビリティの強調されている血はHaloである。最上位クロスはHaloの父Hail to Reasonの4×7 Haloの母父Almahmoudの5・7×7・7ここまではたいていの馬がつくれるのであるが、キラーアビリティの場合は母父Cosmic Bombの父Pharamondの6×8も出来ておりしっかりとHaloを強調している。
加えてディープインパクトの成功パターンSir Gayload ≒ SecretariatのニアリークロスにBold Rulerを共有する Seattle Slewが絡みその父母父でHail to Reasonに回帰する。
さらにこの馬はNorthern Dancerの5×5・5は母母方にあるNorthern Dancerの父Nearcticが絡む。
スピードはHaloを余すことなくとらえた上にNearcticのスピードが絡む。スピードの持続力はSecretariat Bold Rulerから補給。ディープインパクト産駒らしくマイルから2400mまでしっかりとこなせる血統構成になっている。
ただし、母母方の世代が新しすぎるためにHail to Reasonが4×7と薄くなってしまっているので、Halo強調がわかりづらいとも見える。成績にムラが出たり、開花に時間がかかる心配があるが2歳GⅠを制しており心配するほどでもなかったようだ。ただ三歳春のトライアルで決めて勝負となった場合対応できない可能性がある。トライアルで過剰人気になった際はあえて嫌ってみるのも手。